BRUTUS 2012年3月15日号
http://magazineworld.jp/brutus/727/
出版社名 : マガジンハウス
発売日 : 2012年3月1日
雑誌JAN : 4910277530321
雑誌コード : 2775303
税込価格 : 630円
No.727 CONTENTS
features
030 特集
SLOW JOURNEY 2012
旅に行きたくなる。
032 どんな旅をしているの?
034
あの人はどんなスローな旅をしたのか。
達成感のある5つの旅へ。
046 沖縄/路線バスと徒歩での本島一周4泊5日。
052 九州/九州縦断路線バスの旅で見えてくるもの。
058 しまなみ海道/瀬戸内海の6つの島を走る自転車旅。
090 イエローナイフ/犬ぞりで行くカナダ極北オーロラの旅。
102 トンガリロ国立公園/自転車と徒歩で巡るNZ最古の国立公園。
068 スローな旅に行きたくなる32冊の本。
069 特別付録
ニッポンの巡礼BOOK
日本人にとって巡礼とは何か。
古典的巡礼とは。
巡礼した先人たち。
和辻哲郎 土門拳 白洲正子 柳田國男 リービ英雄 十返舎一九
ひと味違う聖地巡礼
伊勢 高野山 長崎
regulars
021 Et tu, Brute? 「ジョナ・ヒル」ほか
117 Brutus Best Bets 新製品、ニューオープン情報
124 人間関係 446 写真/篠山紀信
『ライカの使い方』リシャール・コラス、エリオット・アーウィット
129 クルマのある風景 25 「BMW 1 シリーズ」(撮影/笠井爾示)
131 SUPREME BRUTUS 「春風亭一之輔」ほか
140 BRUT@STYLE
269 mustard field
144 グルマン温故知新 358 バンディエラ/トミーノ
146 みやげもん 132 小幡人形/次号予告
127 BRUTUS BACK ISSUES/定期購読募集
【SPECIAL CONTENTS】
あの人はどんなスローな旅をしたのか?
厳冬期の北海道を自転車で独走したり、コルビュジエのグレートジャーニーを追体験するためにギリシャの島々を船で巡ったり、時速8kmの耕運機で日本一周したり。目的も手段も異なるスローな旅を楽しんだ27人を紹介する本誌から、ここでは3人分の実例をダイジェストでお届け。詳しい内容、その他24人分のスロージャーニーは、本誌にて。
From Editors 1
1月のイエローナイフ郊外は昼間でも、こんな感じでマイナス27度。ごく普通の気温らしい。
吐いた息が凍って顔にこびりつく寒さ。犬たちの顔も氷まみれ。でも元気いっぱいだ!
冷凍庫より寒い極北の地、
厚手のダウンジャケット2枚重ねの
着膨れ犬ぞり隊は出発した。
犬ぞりの旅にでかけました。場所はオーロラ鑑賞でも有名なカナダの北部、イエローナイフ。その郊外にある湖の畔のキャビンまでを往復する、長くない距離ですが1泊の旅です。
「今日は犬ぞり日和だ」。今回、旅のガイドをしてくれた犬ぞりの元世界チャンピオンのグラントさんは「天気も快晴だし、風も弱い」と笑顔。でも「重ねられる限り、重ね着しろ」と言う。
ま、そう言われなくても、最高気温でさえこの時期はマイナス20度、日が暮れればマイナス40度近くになることもある極寒だと聞いてはいたので、いろいろ準備してきましたよ。冷凍庫のJIS規格がマイナス18度以下だから、昼間でも冷凍庫より寒いわけで、アウトドア用の保温性の高いアンダーウエアの上下はもちろん、その上にフリースやらなにやら、もうこれ以上重ね着は無理というくらい着込んで、最後に現地でレンタルした南極越冬隊のような極寒地用の分厚いダウンジャケット。これで完璧!
と思ったらグラントさん「日本から着てきたダウンジャケットもその下に着ろ」と言う。けっこう厚手のダウンなんで、これをインナーに着るなんて……と躊躇していたら「どんなに重ね着しても、重ね過ぎということは、この地ではない」と、まるで諺みたいな感じで言い切る。ライターのM君なんて、ヒマラヤ用の極寒地仕様ダウンジャケットで日本から来たから、それをインナーに着ることに。なんだかドリフの相撲コントのような着膨れ状態で出発した。
ちなみに手には手袋2枚重ねの上にビーバーの毛皮のミット、足には靴下2枚重ねにマイナス40度まで大丈夫という現地でレンタルしたスノーブーツ。
犬ぞりは1台に2人。荷台に1人、もう1人は後ろに立ち簡単な操縦する。これを約1時間ごとに交替しながら進む。M君と私のそりは初心者用なので犬6頭が引っ張ってくれるタイプ。犬たちは「こいつら初心者だからゆっくり走ってやるか」という感じでじゃれあいながら本気モードでは走ってくれないのだけど、意外とスピードは速く、顔に当たる風が冷たいというか痛い! あとで聞いたが、体感温度は気温よりさらに10度くらい低くなるらしい。
で、後ろで操縦しているときは、多少体を動かすからまだいいのだけど、荷台にいるときはとにかく寒い! 体の末端からずきずきと痛くなっていく。日が暮れていくと、意識がもうろうとなるくらい寒い。それでも、厚手のダウンジャケット2枚重ねのおかげで、なんとか我々は生還した。グラントさんの諺の通り、重ね過ぎではまったくなかった。
しかし、無事、旅も終えグラントさんのオフィスに戻り、暖を取ろうとして知ったのだけど、グラントさんの犬ぞりスタッフたちは、極寒地用のダウンジャケットの下は半袖Tシャツ1枚だった。あの諺は、やわな日本人たち向け、だったのだ。
●芝崎信明(本誌担当編集)
From Editors 2
ニュージーランドで犬と戯れる伊藤氏。今回の特集では、しまなみ海道&ニュージーランドの自転車旅と、カナダのイエローナイフでの犬ぞり&オーロラの撮影をしています。いずれも伊藤さんならではの良い写真が撮れています。ぜひ本誌で確認してみてください。
スローな旅を終えて。
カメラマン、伊藤徹也について。
小誌の旅の号でよく撮影をしている伊藤徹也カメラマン、齢四十三。背は高くないが丸坊主頭で筋骨隆々。見た目は三枚目だが声は渋く、喋る姿は二枚目風情。これまでも条件の悪い現場で、数々の奇跡的な写真を撮ってきてもらったが、中でも印象に残っているのが「犬」の特集でご一緒させてもらった時に、伊藤氏を気に入った犬たちがものすごい勢いで氏の坊主頭をペロペロと舐めまわしていたこと。そんな伊藤氏と久しぶりに旅の取材に出た。
今回の旅特集は路線バス、自転車、そして徒歩を中心に“移動手段”にこだわった1冊。自転車部門を担当した。舗装された自転車専用道が続く瀬戸内海の「しまなみ海道サイクリングロード」。青い海に、爽やかな潮風、柑橘類が描く橙色の水玉畑を抜け、ゆっくりとスローな旅を満喫するつもりだったが、何かが違う。
カメラマンのバックパックは異常なほど重いものだが、今回はさらに自転車を漕ぎながら撮影する伊藤氏は肩から常時カメラを1台たすきがけ。立ち漕ぎしながら重い一眼が腰にガンガンあたっている。余裕かましてレンタルサイクルで普通の、いやとびきりボロいママチャリを選んだのが災いし、ギアも入ったり、入らなかったり。そもそもママチャリってこんなに重たかったっけ?
走り始めてわずか1時間ほどで泣き言を口にして以来、私は坂あるごとに自転車を降りて押して登ったが、氏は立ちこぎだの蛇行だのを繰り返し、意地でも自転車から降りようとしない。旅の終盤、今治を一望する展望台に登るべく3kmの山道をひたすら自転車を押して登っているときには、こちらはいよいよ涙したが、振り向くと、あ、徹っちゃんまだ乗ってる! 歩くよりも遅いスピードで坂道を登っていた。
1ヶ月後、レイアウトのあがりを見せたときに、「俺さ、もう一度いきたくなったよ」と二枚目風に言われたのが嬉しかった。この人はいい写真を撮るためにとにかく考えて、そして粘る。その写真に何かが足りないと思えば雲を待ち、牛の目線が欲しいと思えば「ベエベエ、ベエベエ」と話しかける。とあるカメラマンが「伊藤さんが必要なのもわかるけどさぁ…」と皮肉とも、嫉妬とも取れる言葉をこぼしたのを聞いたが、私は問いたい。あなたは最後まで自転車に乗り続ける根性はあったのかと。その根性は私にもなかったのだ。
しかし、自転車に乗り続けることといい写真を撮ることは全く関係がないのが残念です。
●町田雄二(本誌担当編集)
NEXT ISSUE : No. 728 | 3月15日 発売
大人のプレッピーを提案します。今様に遊ぶ、崩す、外す。プレップであること、その色合い、アイテム、考え方を。ファッションのアーカイブを追いかけていたら、遊び心が湧いてきたのです。1980年代初頭のプレッピー大ブームから30年を経て、大人のプレッピーの誕生です。2012春夏ファッション特大号は、「NEW PREP STANDARD」。ブルータス製“プレッピーハンドブック”も作ってみました。
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